若い患者の脳梗塞

耳鳴で受診した40歳の患者。脳のMRIを撮影をすすめたら、2年前にも脳のMRIを脳外科のクリニックでとったらしい。そのときに、小さな脳梗塞所見はあるが、問題ないと言われたそうだ。

今回当院を受診する前にも、また脳MRIをとり、異常がないと言われてきた。今から脳MRIを撮りなおしてもしかたないかとも思ったが、小さな脳梗塞のあとがあるというのと、40歳で脳梗塞があって問題ないとはどういうことなのか、気になってしかたない。そのMRIを自分で確認できない以上は、再度撮りなおすことにした。

MRIでは、小さくて古い脳梗塞のあとがある。若いのにおかしいと思いながら、いろいろと話をきいていくと、驚くことがわかった。心房細動で治療をしているそうだ。

心房細動というのは、不整脈の一つで、脳梗塞を非常に起こしやすい。これが、若くして脳梗塞を起こした理由なのであろう。

患者の話をきいていると、さらに驚くことがわかった。少し前に突然片目がみえなくなったが、すぐに元にもどった。TIAを起こしてる。脳の血管がつまっったのだが、たまたま再開通したので再び見えるようになったようだ。つまった血管次第では、死んでいでもおかしくない。TIAは、24時間以内に、別の血管がつまる確率がとても高いのだ。今元気に生きているのは、ラッキーだっただけだ。

心房細動があるので、循環器科からは血栓予防の薬はもらっているそうだ。脳外科でMRIとって古い脳梗塞ですが問題ないですってよく言えたものだ。かなりやばいだろう。

再度脳梗塞を起こす可能性は極めて高い。脳幹部に脳梗塞が起こったら、そのまま死んでしまう。血栓予防の薬を飲むしか方法はないのだが、そのリスクを脳外科の医者からは何も聞いていないようだ。

耳鳴の検査のために、脳MRIをとったが、そちらははっきりした異常はなかった。かわりに、この患者さんには脳梗塞のリスクが高いことを説明し、麻痺などの異常がでたら、自分ですぐに脳外科のある救急病院を受診するように説明した。脳梗塞のゴールデンタイムも説明し、とにかく待つな、救急病院に救急車でかけこめと指示する。数時間以内であれば、血栓を溶かして命を救える可能性がある。明日でいいやが命取りになる。一刻を争うのだ。

この病気はどうみても、耳鼻科の病気ではない。しかし、放置しておいていいものでもない。受診する患者の状態を自分で把握し、その状態を確認する。よそで診察を受けた、検査を受けたというのは、そのまま素直に信じられない。今回のようなことがあれば、さらに不信感が強くなる。

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